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理事長挨拶

NPO法人 日本口腔科学会

理事長片倉 朗

口腔科学会のさらなる発展のために、
いま行うこと

 この度、理事長を拝命いたしました東京歯科大学口腔病態外科学講座の片倉 朗です。九州大学の中村誠司前理事長の後任として、2022年5月からの2年間の任期を務めさせて頂きます。

 歯学領域の学会は専門性を高めた細分化が進んでいます。一方で本学会は日本医学会連合の中で歯科医師が中心となって活動をする唯一の分科会として、1913年に母体である歯科医学懇話会が東京大学医学部歯科学講座に設置された当初から、歯学と医学を包括した幅広い専門性を「口腔科学」という学問領域として今日まで100年以上の歴史をもって発展してきました。全国の医学部及び歯学部などの協力を得て活動を重ね、2004年に特定非営利活動法人となり現在に至っています。本学会の目的は、「広く市民に対して、学術集会の開催等による口腔科学の研究及び討議を通して、医学の進歩と発展に貢献し、学術文化及び医療福祉に寄与すること」と定款に示されています。現在の医学・歯学は、健康寿命の延伸が共通した大きな課題であり、それに伴う医療費の適正化、産学官の連携による医療の成長産業化へ貢献が求められている時代となっています。「口腔科学」として幅広い視野に支えられた学問領域を有して活動してきた本学会こそ、このニーズに先駆的に対応できる人材を有する学会であるべきと考えています。先達の先生方が築かれた事業を継続して本学会の方向性を維持するとともに、人口構成、社会と経済環境、そして医療の目的と価値観が大きく変化しているこの時期だからこそ、本学会の存在意義や独自性が強調できる活動を推進し、国民の皆様に口腔医療を通じて健康長寿を提供できる学会活動を以下のことを柱に進めて会員の皆様ともに進めてまいります。

1. 口腔に関連するあらゆる診療科や分野が垣根なく活動し、社会貢献性のある情報発信をする学会へ

 学術集会では口腔を俯瞰し、社会的ニーズのあるテーマで多角的にディスカッションできるシンポジウムなどを企画します。学会員による研究や活動の成果はNPO法人としての役割を果たすべく、時代に即応した手段で社会に発信します。
 また、日本医学会、日本歯科医学会、日本歯学系学会協議会などの関連学会と学術大会の企画やプロジェクト研究などを手段として交流を図ります。

2. 医学に向けた積極的な情報発信と意見交換の推進

 日本医学会連合の分科会である本学会は医学領域に対して躊躇なく口腔医療の重要性を発信し、意見交換することができる立場にあります。直近では「日本医学会連合 COVID-19 expert opinion 第2版」において口腔科として情報提供をしています。日本医学会連合の中で本学会の専門性が発揮できる課題には積極的に参加し意見を発信致します。日本医学会総会では口腔領域の基盤学会としての情報発信や会員が発表できる機会を確保していきます。

3. 専門医制度のさらなる整備を図る

 認定医制度の整備は順調に進み、多くの認定医と指導医が登録されています。継続して認定医取得のための知識と技能を向上させる教育研修会を定期的に開催して領域横断的な視野を持って口腔医療・口腔科学を実践できる人材の育成に努めます。

4. 国際的にも評価される学会誌の編集

 「日本口腔科学会雑誌」では、会員の皆様の研究成果の投稿のみならず、医学・ 自然科学分野で活躍される専門家に「依頼総説」を執筆していただき、会員が広い視野を得る一助となる内容を提供します。また、英文誌「Oral Science International」はOSI編集委員会とWilly社が協力しIFの取得に至りました。多くの会員の皆様に日頃の研究成果を積極的に誌上発表いただき、国内はもちろん国際的にも評価が得られる学術的活動の基盤を強化してまいります。